介護業界にて採用されているバリデーション療法は、1963年にアメリカで開発された。認知症やアルツハイマー病を患っている高齢者とのコミュニケーションを取るための方法であり、日本では2003年に取り入れられて以来、介護の現場で広く用いられている。このバリデーション療法というのは、認知症やアルツハイマー病のために自分の感情を表現することや、意思疎通をすることが難しい高齢者が、自分の感情を外に出すために活用される。感情については喜びなどのプラスの感情のみならず、怒りや悲しみと言ったマイナスの感情の発露を促すことを目的としている。そのため、認知症などの症状のある高齢者は、バリデーション療法を用いることで、自分の感情を自由に外へ放出することを可能にしているのだ。

このような目的で採用されているバリデーション療法だが、具体的にはどのような効果をもたらすのだろうか。まず、認知症などの症状のある高齢者の場合、ストレスの緩和に繋がる。認知症や体の衰えなどのために、普段思うように自己を表現できない部分を、バリデーション療法により補うことを目的とする。それにより、人間としての尊厳を取り戻し、さらには同じ施設の高齢者との交流を促す効果をもたらすと言われている。次に、バリデーション療法というのは、認知症のある高齢者の家族、それに介護職員との信頼関係の構築にも役立つ。バリデーション療法の働きにより相互のフラストレーションが解消され、よりよい関係を築けるのだ。